2013年05月25日

1992年のFD参加記

読んでみたいというリクエストにお応えして……

1992年当時、CQ誌「国内コンテストのページ」(エディターはこちら)の企画に『Domestic Contest Circuit』(通称DCC)ってのがあったんです。3人でチームを組み、開催規模や入賞順位に応じて付与されるポイントの合計でチーム間の年間順位を競うことで国内コンテスト界を盛り上げよう、という意図だったかな。これにJS3BBH小高さん・JR5EHB吉田さんと私の3人で「3-C」というチームを結成して……チーム内の情報交換を目的にミニコミ誌っぽいものも作っては配布してました

前置きが長くなったけど、そのチーム誌「BK」に載せた参加記を以下に転載します

−…−

Field Day from 三嶺
〜1992年フィールドデーコンテスト参加記〜


今回で5年連続して三嶺(*1)から430-Mixでの参加。毎年確実にスコアを伸ばしているので今年はHW?

2051:昨年Batt切れで12時間しか運用出来なかった苦い経験を活かすべく、今年は周波数Keepをやらず、この時間にSW ON! SSBでCQを出すと2局目にJH4OUH/4がコール。144-Mixとのことで開始時間までラグチュー
2100:ラジオの時報と共に「CQコンテスト!」。JS3RFAを皮切りにスタート。がペースが悪い(*2)。なんでかな?
2119:CWにQSYしCQを叩くも何故かJF6HMB/6のみ。5分後諦め呼びに回るとJR0KTF/0が強い(*3)。GAS(*4)らと共に御岳7合目移動と後で知り納得
2140:再度SSBへ。すると何じゃこりゃあ?! 側波帯が7〜8KHzもあるぞ〜。京都移動の昨年430-Mix全国2位の局だが、10Wとのこと。1向けにANTを振っている様子だがこれは……と絶句。丁度八丈島移動の7M1BUO/1と交信していたので約10KHz上でCQを出すと思惑通りBUOからコール。Lucky!(*5)
2210:CWでJR5ILN/5と交信後、弱いながらJR2WLQ/2からコール。NRの後「QSL OK?」と尋ねるので「QSL SURE FER UR KCJA(*6)」と返したらとても喜んでくれた
2245:SSBでJR3KQJ/3を発見! 即コールしNR交換。六甲山から50Wなのに京都の某局よりも弱い。この時点で京都の某局とはNR交換しないことに決定(*7)
2252:ここで初めてFMでCQを出す。が、あまり呼ばれない。あれ?と思い、後でANTを見ると仰角があり過ぎみたい(*8)。調整後再度CQを出すと今度はいいみたい
2332:JF3BLB/3からコール。KCMメンバーだ。KCMはいつもグループで移動している為、他の人にも39をSVCしますからよろしくと伝えると(*9)、その直後「他の人です」とJJ3JEP/3からコール。しっかり聞いていたのね
0048:6エリアが1局のみなので、別府鶴見山レピータにビームを合わせてFMでCQ。直後JN6BUH/6(FO)からコール。更に10分後JA6YGM/6(OT)からもコール。しかしこれ以後九州の局と交信することはないのであった(*10)
0133:JR3SCG/3がフルスケールでコール。今年は強いねと言うと、六甲山ですからとの答え(*11)。今年のKCMの面々は気合バリバリ
0200:常連局JS3EOC/3からコール。「北海道とFMで交信したよ〜」とのQSP。マズイ!! 京都の某局に負けてなるものか、と気合が入る
0222:FMでJE9CCM(FI)からコール。1st9エリアだ。交信しながらANTを微調整し(*12)、28・30のCFM目指して粘る
0421:1時間の仮眠後(*13)、再びFMでCQ。5分後JR9EIE/9(TY)に呼ばれ、9エリアは完了! そのまま9向けのビームでCQを出すが、2〜5、0からも呼ばれ誠にFB。早朝という時間帯のせいもありペースは悪いが、粘ってCQを出し局数を重ねる
0554:ローカルのJA5PA/5からコール。「今高知市内はどしゃ降りで〜」とのQSP。確かに西の方はヤバそうな感じ。結局30分後には猛烈な風雨となり、半ば強制QRT。ラジオをつけ、テントの中でちんまりとしているとバキッ、とテントの骨が折れた。ゲッ! 片手で今にも押し潰されそうなテントを支える破目に。0630〜0740は無線どころではありませんでした
0744:やっと風が収まったのでCQを出すと、2局目にJF4ETK/4がコール。ANTを振ってそのまま30分程ラグチュー(*14)。JA5の話をすると「来年は絶対ヤりますよ」と宣戦布告(*15)。この間に雨もやんだのでQSO後テントを撤収し(*16)、再びANTを振って局数稼ぎに徹する
1012:ガツーンとJA0CL/0からコール。+20dBもある。移動先を尋ねると何と乗鞍岳! 強いハズだ。「去年よりもマルチが少なくてまだ32しか……」チョット! 私は27でストップしているのに。でも彼は昨年38もマルチを取っているからそう言うのも無理ないか。乗鞍は大都市部から遠いので局数が伸びず苦労しているとか(*17)。「今年もトネさんに負けました」との弁
1040:日帰り登山組が大挙やって来た(*18)のでQRT。しばし山の話をしながらの休憩(*19)。1120頃人が少なくなったのでCQを出すととたんに雨。ANT以外を持って山小屋へ避難
1210:雨が止む。空を見上げ続けるか下山するか考える。結局後悔したくない一心で続行を決意。「気を付けて」と暖かい声援を受けて(*20)、再び山頂へ
1241:JR3EOI/3からコール。1Wだが+20dBで入感(*21)。SSBよりもFMの方が若く聞こえてました
1336:JK2VOC/2からコール。青山高原とのことだがSが振らない。後で聞くと50のANTで呼んでいたとか。おかげでSWR計が1つブッ壊れたとのこと
1426:HFでよく交信するJK3JZXがコール。因みにこの方JK3XXK局の知り合い。直ちにTel連絡を! と依頼するも「今出張でおらんのですわ」とのつれない返事。楽しみにしてたのに(*22)
1440:明石のYL局JE3CWVからコール。すかさず和歌山コンテストのクマのシートの件について話を聞く。CWV女史曰く、初参加の為今後共よろしくの意味で同封したとか。私のところにも1stQSO後、スイカのQSLカードを送ってくれました。相変わらずだなぁ

こうして1459にJF3RHBと交信して、今年のField Dayを終えました。速攻で撤収して山小屋へ戻ったところでまた雨! 結局山小屋でもう1泊し(*23)、高知の下宿に着いたのは3日の1400(*24)。さすがに疲れました、Hi。

<運用設備データ>
RIG:IC-390(SSB/CW)、IC-338(FM)(*25)
ANT:マスプロ15エレ×2、4mH(*26)
CABLE:10D-FB、5mL弱
BATT:40Ahカーバッテリー(*27)
PREAMP:なし
PORTABLE:KC香美郡物部村三嶺山頂、JCG#39003、PM63XU、1893.4mH

<結果>
493局、493×27×2=26,622(*28)

<取れたマルチ>(電波型式ごとに分析)
011122222222223333333333444
908901234567890123456789045
SSB *********** **********
C W * * ** * * * ** *
F M * *************** *******

<タイムチャート>
Mode | 21 22 23 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 | Sum
-----+-------------------------------------------------------+----
SSB | 38 18 15 11 5 2 | 89
C W | 14 3 2 | 19
F M | 10 10 15 58 19 13 9 27 12 5 15 42 31 22 45 52 | 385
-----+-------------------------------------------------------+----
Sum | 52 31 25 28 58 24 13 9 27 12 5 15 42 31 2 22 45 52 | 493

Hour JA1 JA2 JA3 JA4 JA5 JA6 JA7 JA8 JA9 JA0
[21] 1 7 27 11 4 1 - - - 1
[22] - 4 13 10 4 - - - - -
[23] - 1 10 11 3 - - - - -
[00] - 2 14 3 7 2 - - - -
[01] - 9 34 5 10 - - - - -
[02] - 1 15 2 3 - - - 2 1
[03] - - 7 4 1 - - - 1 -
[04] - 3 4 1 - - - - 1 -
[05] - 3 12 4 1 - - - 1 1
[06] - 1 9 1 - - - - - 1
[07] - - 1 4 - - - - - -
[08] - - 13 1 1 - - - - -
[09] - - 22 11 9 - - - - -
[10] - - 20 5 5 - - - - 1
[11] - - 1 - 1 - - - - -
[12] - - 10 2 10 - - - - -
[13] - 3 25 9 8 - - - - -
[14] - - 39 4 9 - - - - -
Total 1 34 276 88 81 3 - - 5 5

<注釈>
*1 徳島・高知の県境にある山。標高は1893.4mで、頂上は高知県の最高地点であり、かつ、高知県で唯一京阪神地区が見通し距離となる場所。同じ漢字を当てながら徳島では「みうね」、高知では「さんれい」と呼ぶ。高知県側は香美郡物部村(現香美市)に属していた
*2 一ヶ月前の6Dでは爆発的に呼ばれたのと比較して書いている
*3 この時のJR0KTF/0の記録は112×29×2=6,496。2006年にJE2PCY/2が塗り替えるまでレコードだった
*4 JR0GAS保科さんのこと
*5 1988年〜1993年と同じ場所からF430(現X430)に出たが、FDコンテスト中に1エリアとQSOできたのはこの1回のみだった
*6 全国CW同好会(KCJ)が発行するアワード。詳細はこちら
*7 結局最後までQSOしなかった
*8 東方面へは間近に見える剣山をかすめるようにビームを振ると良かったため、剣山の山頂にビームが向くよう目視で仰角を付けていた……のが裏目に出たのだった
*9 430MHzで高知県が欲しければオレを呼んでこい! みたいなおごりがあったのは事実。なので京都の某局をこちらから呼ばなければ、彼は高知県を取れないだろう……という読みもあった
*10 6エリアは石鎚山などを越えた向こう側なので完全に移動局頼みだった
*11 いつもは氷ノ山の麓なので、強いとは言ってもフルスケールで入感するようなことはなかった
*12 交信を引き延ばしながらビーム方向を探るのはUHF帯ならでは。HF帯メインの方が相手だと、こちらがビーム方向を探り終える前に送信を終えてしまうので(特にコールサインの再送をお願いした時)、少し粘れば交信できたのに……ってケースを幾度となく経験しました。だから冗長かも知れないけど、相手から「もう一度コールサインを」などと言われたり「QRZ?」と叩かれた時は、もちろん状況次第ですが、DX交信となりそうなケースではロングコールをするのが双方にメリットがあるものと個人的には思っています
*13 バッテリーを少しでも持たせたいのもあり、呼ばれない時間帯は思い切って仮眠を取っていた
*14 「本当に高知県から?」って聞かれたような覚えが。今から思えば双方のんびりしてましたねhi
*15 広島から現地乗り込みをして同じカテゴリーに出ますよ、という意味
*16 三嶺頂上はとても狭い(ざっと8畳ぐらい)ので、テントを張るのは夜間だけにしていた
*17 一度だけ剣が峰山頂で430FMを運用したことがあるけど(10W機+5エレ八木)、横浜辺りの固定局からパラパラ呼ばれるが、どかーんとは呼ばれなかった。マルチが稼げても局数が延びないのは個人的に納得
*18 (現在は一般車両の通行が禁止されている)三嶺林道の終点からだと2時間から2時間半で三嶺山頂に着くので、大抵はこの時間帯になると登山客が多くやって来た
*19 登山客とのマッチングも大事……これをやらなかったばかりに、今の三嶺はアマチュア無線の運用がとてもやりにくい(もしかして不可能?)状況にあります
*20 運用を中断しておしゃべりしていた登山客の方々と一緒に雨宿りしていた。気を付けてのひとことは嬉しかったな
*21 たまたま手元にあったハンディ機で聞こえたので呼んでみた、とのこと。過去には大阪の方が、室内からハンディ機&付属ホイップで呼んできた、というケースもあった(これも59+40dBで当方には入感)。それだけ三嶺からの電波は強力に飛んでいたため、あいつは山の上から100W出してると陰口を叩かれたこともあった
*22 JK3XXK局とは未だ交信できていませんhi
*23 宿泊費はかからないのだが、もう1泊する予定はなかったので食料が……
*24 当時はSUZUKIのハスラー50が移動の足だったので、移動にとにかく時間がかかった。この時はR439からかずら橋を経由してR32へ出るルートで帰ったと思う
*25 消費電流がIC-390が約4Aなのに対し、IC-338は約3A。バッテリーを少しでも長持ちさせるために無線機を2台担ぎ上げた。なおIC-338は、供給電圧が12Vだと実際の出力は8W弱……100Wなんてとんでもない話hi
*26 このアンテナは2エリアへUターン後、MOネットの転送用アンテナ(相手局はJG2YXS)として実家に上げて現在に至る……が、今春の突風でマストごと傾いたので撤去命令が出ているhi
*27 ショルダーバッグに入れてたすきにかけ、液漏れを心配しつつ担ぎ上げたっけ
*28 FDコンテスト・X430の5エリアレコードだが、最近のアマチュア無線事情および三嶺を取り巻く諸事情を鑑みるに今後破られることはなさそうな気がする

<転載作業を終えて>
このコンテストは、前年初優勝しての防衛戦。それまでの課題をクリアして臨んだのを今でも覚えています。中でも前年と大きく変わったのが、FMのみからSSB/CWにも出られるようにした点。そのために無線機が1台増えただけでなく、パドル(JA-2)とキーヤー(MK-1)も担ぎ上げたっけhi

特に注意したのが「終了時刻までいかにバッテリーを持たせるか」。そのために実践したのが(1)SSB/CW用とFM用の無線機(ともに10W機)を2台用意(実際には電池運用が可能なハンディ機・C411も持っていった)、(2)冗長な言い回しを省いた簡潔明瞭なオペレート、の2点。その上で、それまでの運用経験の蓄積からどの方角へアンテナを向けると良いのかを常に考えつつ運用したことで、担ぎ上げた設備のパフォーマンスをそれなりに引き出せたかな、って思っています

その結果、途中で数度の中断があったとは言え、最後まで運用することができ、結果的に今なお5エリアのレコードという成績を収めることができました。もっともこの成績は自分一人の力でなし得たわけではなく、493人もの相手がいて初めてなし得た成績なので、お相手いただいた方々へは今なお感謝しています
posted by きこり@JH最大の難所 at 03:34 | 岐阜 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | コンテスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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