2016年05月22日

2016年6月号

今号は、2ページまるまるCWでのコンテストQSOを特集した号になっちゃいましたhi

■CWでのコンテストQSO
【執筆の動機】
(1)JAの方って丁寧なQSOを心掛ける傾向があるのか、QSOそのものが冗長な傾向があります。おそらく普段のQSOスタイルがそうだからなのでしょうけど、使わなくても意思疎通が図れるのなら使う必要のない文言はバッサリ省略すべきと強く感じるので――。

(2)ローカル・コンテストで呼ぶ側になって感じるのは、相変わらず「TU EE」でQSOを終える方が多い! いつまで経ってもパイルが小さくならないどころか、不要な混乱を引き起こしているケースが散見されるのですよ。中には、当方が現地乗り込みしていると良く呼んで来る方が、自分が現地乗り込みすると「TU EE」でQSOを終えるという方もちらほら。他局のオペレートに学ぼうという姿勢がない?!(苦笑) 「アマチュアは進歩的である」というアマチュア・コードはいずこへhi。

(3)ALLJAでの出来事。ナンバーはこれで合っているか? と某学校社団局に聞かれたので「YES」と打ったら、これが通じない。何度も「YES」と打ったが、先方には意味が通じなかった模様――。コンテストでRunするのなら、最低限知っておきたい符号や想定されるやり取りぐらいは知っておいてほしいけど、実はそういうのってCQ誌上で取り上げたことってあまりないような気がhi。


【基本形】
私の場合、状況によってコールサインを2回打つこともありますが、CQを打つ時の電文は常にあんな感じ。ローカルコンテストだと、たとえば東海QSOなら呼出しは「CQ TKI TEST」と打つようにと規約にありますが、これすら冗長と思う今日この頃です。

コンテストNRのやり取りでは、GMやGAなどのあいさつや、複数回QSOありがとうetcetc.を打つ方もいますが、たまに呼ばれるような状況ならともかく、パイルアップとなっている最中はどうなのでしょう。ここは空気を読むべき。となると、打つ必要のない文言はバッサリ省略するのが、全体幸福に繋がると思うんですけどね。

正確に応答されたのでコンテストナンバーだけ打つ(注1:QSO中にコールサインを打たない)、のところ。以前どこかで見かけたブログの記事にあったRTTYコンテストにおけるQSOの流れを(おぼろげな記憶を頼りに)紹介します。この記事は、確かQRPで参加している方のブログにあったもので、北米とQSOできて嬉しかったから記事にしたようでした。

XXK:WPX JK2XXK JK2XXK TEST
ZLX:JI2ZLX JI2ZLX
XXK:JI2ZLX 599 123 123 123 JI2ZLX
ZLX:CFM DE JI2ZLX 599 456 456 456 TU
XXK:JI2ZLX? JI2ZLX?
ZLX:DE JI2ZLX JI2ZLX JI2ZLX 599 456 456 456 TU
XXK:JI2ZLX TU JK2XXK TEST

いかがでしょう。上から4行目で、JI2ZLX局は自局のコールサインが正確に返ってきたのにもかかわらず、ご丁寧に「DE JI2ZLX」と打っています。で、これが恐らく文字化けして先方に届いたのでしょう。文字化けされたコールサインを見て、最初に返したコールサインは間違いなのかもとJK2XXK局は判断し、「JI2ZLX?」とソリッドコピーしていたのにコールサインの確認をしなければならない状況を作ってしまいました。その結果、JI2ZLX局は、コンテストNRのみならず自局のコールサインを再び何度も打たねばならない、JK2XXK局はソリッドコピーしたコールサインをもう一度聞き返さなければならない――。

このやり取り、不要なことを送信したばかりに相手局へ迷惑をかけたのはもちろんのこと、自分もまったく必要のない電文を送信しなければならない状況を作ってしまったというケースでした。

本稿の最後で「今回はCWのお話しでしたが、QSOの進め方自体はSSBやFMでも一緒」と書きましたが、RTTYでも同じことが言えるのです。なので、不用意な・不必要な電文を送信することが相手にどう影響を与えるのか、これを機会にいま一度ご自身のオペレート・スタイルを見つめ直していただければ幸いに存じます。

「TU EE」で終わらないように――のくだり、これは注釈の解説に書いたとおり。なお「TU EE」で終わるのは、ほぼ手打ちの局だと見ています。ということは、ご自身が「これは改めなくちゃ」と意識すれば即座に改善できると思うのですが、いかがでしょう。


【コールサインのミスコピー】
この手のやり取りで問題となるのが、「コールサインが本当に訂正されたのかどうかがあやふや」なケースがあること。たとえば、

XXK:JL3HDK 5NN 19H
HDC:JL3HDC JL3HDC 5NN 22L TU
XXK:TU JK2XXK TEST

――としてしまうと、JL3HDC局は「俺のコールサイン、ちゃんと訂正してもらえたかな?」と不安を抱くのは無理からぬ話。で、これがDXペディションだと「もう1回呼ぶか」と保険QSOに走る原因となる訳で。なのでRunする側は、相手局のコールサインを訂正したのなら、その旨をきちんとアナウンスして「訂正したよ」と相手に伝えるべきだと思います。


【ナンバーが分からない】
注釈の解説にも書きましたが、QTHが分からないから「QTH?」と叩いたり、パワー種別を表すアルファベットが分からないから「PWR?」と叩いても、即座に理解してもらえるケースは正直少ないです。なのでナンバーの一部が取れなければ、全体の再送をお願いする「NR?」を送るのが間違いないのかな、と感じています。


【周波数の変更をリクエスト】
意外と「QSY」自体が通じないんですよね。こればかりは何ともなりませんhi。

さて、問題は「どのタイミングでQSYを依頼するか」。以下の2つの例をご覧ください。

(1)(CQ誌の例文そのまま)
XXK:JR5PDX 5NN 19H
PDX:5NN 38M
XXK:PSE QSY 28 OK?

(2)
XXK:JR5PDX 5NN 19H
PDX:5NN 38M
XXK:CFM PSE QSY 28 OK?

1と2の違いは、「いきなりQSY依頼する」「ナンバーを受信した旨を送信してからQSY依頼する」の点です。

ただ、2のパターンだと意外とダメだったりするのです。というのも、「CFM」なり「QSL」なり、ナンバーを受信したという文言を聞いた瞬間に(CやQが聞こえたら即座に)VFOを回してしまう方って少なくないのですよ(私もすぐ回すクチhi)。

もっとも、最初に何と打ってくるのかは聞いていますので、そのタイミングでいきなり「PSE」と打つことで相手局の注意を引き、その流れで依頼をおこなえば、大抵の場合は何らかの返事が来ます。

なお断る場合、理由を付す方が少なくありません。私も時に「NO ANT」とか「NO RIG」と打ってゴメンなさいすることがあります。ただ、どう理由を打てば分からないのであれば、例にあるようにさくっと断っても全然OKです。


【QSO済み】
注釈の解説にも書きましたが、自分はQSOしたと思っていても相手がそうでなかったりするケースってあるんですよねぇ。

私が経験した例だと、Newマルチだったので呼んだらいきなり「QSO B4」と打たれたことが。これにはホント驚きました。私を騙るUCがいたのか、私が隣接局を呼んだ時に、自分が呼ばれたと思って勘違いしてQSOしたのか、理由は定かではありませんが。

CWフィルタの狭帯域化が進み、200〜300Hzぐらいの間隔で並んでRunするのも珍しくない今日この頃、こういうケースって今後もちょくちょくありそうな気がします。それに最近は、提出ログのクロスチェックをおこなうコンテストもあります。QSLカードの未達云々という問題も出てくるでしょう。だったら、呼んできた局は取りあえずログに載せておき、書類提出時に重複QSOを0点で計上した方が、後々のことを考えたらお互いにとってメリットだと思います。


【コンテストで覚えておきたいモールス符号】
私自身の経験から、これだけ覚えておけば――というものをリストアップしました。

■略号:
略号でないのもありますが(苦笑)、これらの中で比較的あまり使わない(!)のは「FREQ」ぐらいかな?! 「FREQ」はQSY依頼をおこなう時しか出番がないですね。また私自身は「QSO B4」を打たないので「B4」は使いませんhi。

小数点の「R」は、CWでAJAサービス・町村サービスをなさっている方々は普遍的に使っています。

ナンバーの略号「NR」はぜひ覚えてほしい。一般社会では「No.」などと使いますので、CWの略号もそうだと思って「NO?」と打ってくる方がたま〜にいますが、違いますからhi。

■数字の略符号:
この他にもありますけど(例:2→Uなど)、広く使われているのは1・9・0の略符号です。なお備考にも書きましたが、コールサインに関係する数字を略すのは厳禁。でもたまにいるんですよね。/1を/Aと打ったり、/9を/Nと打つ方。

■正誤など:
正しい・よいの意味で用いられる「C」は案外通じない――。「YES」も通じないことが多いので、「OK」が無難かな

■Q符号:
「QRG」「QSY」は知らないと面食らいますので、ぜひ覚えておきましょう。

■記号:
この2つを覚えていればまず大丈夫ですhi。


【その他】
速く打とうとして訂正符号ばかりの方がたまにいますが、正直みっともないと思いますよ。だって自分の技量を明らかに超えたことをやろうとしていますもの。

先ほども述べましたが、CWでのコンテストQSOとは言え、その内容は電話(AM/SSB/FM)やデジタル(RTTY/PSK)でのそれと変わるところはありません。相手のアナウンスを良く聞き(アナウンスする側は相手が聞き取りやすいよう配慮して)、あうんのやり取りを楽しみながら運用できると、コンテストがまた面白くなると思っております。
posted by きこり@JH最大の難所 at 13:03 | 岐阜 ☁ | Comment(3) | TrackBack(0) | CQ誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
runしていて思うのはS&Pで呼んでくる方の3分の1ぐらいは5NN**の後に律儀にTUあるいはBKを入れてこられる方がいますが、つんのめってしまうのでこれも空気を読んで無しにして欲しいと思っています。キーにアサインしてTUまで入れていて、押したきりなのかもしれませんが、状況によってナンバー送出直後にESCで途中で止めるか、どうしてもTUを送りたいのであればキーアサインの内容をTUを先に持ってくる等の配慮があるとありがたいです。

それと、現状はガラパゴスと個人的には思っていますが、国内コンテストでもメジャーなのは7MHzあたりはもう少しCWのスピードが速くなってくるといいなぁと思っています。英国在住の日本人のコンテスターと昨日話をする機会があったのですが、ヨーロッパではローパワーであろうとなかろうとコンテストで高速でCWを打つ局も多いという状況があるようです。こういう早さに少しずつ慣れてくると国内に限らずDXコンテストでも積極的に楽しめるようになるのではと思っています。
Posted by jh5ghm at 2016年05月23日 03:12
>jh5ghm
いろいろと示唆に富むレス、ありがとうございます

つんのめってしまう点、確かにそういう一面はありますね。なので当方も「TU 5NN ○×」とすることもありますが――。まあCWもデジタルも、一度キーにメッセージを割り当ててしまえば、それで良しとしてしまう方がほとんどだという気はします

CWの速さについては、国内でQRQなCWを叩くと呼ばれ方が鈍くなる傾向があると感じています。ゆっくり打電し始めると同時に呼ばれるようになった経験は数知れず。コンテストは数稼いでナンボなので相手(=お客さん)にある程度合わせて――ってところで既にガラパゴスなのかも知れませんが、客商売だと思えば致し方ないのかも?!

まっ、QRQでパイルをビシバシ捌きたい時はローカルコンテストの現地乗り込みがオススメですが、総じてJAの局はいろいろ送ってくるので、呼ばれる割には局数が伸びない(せいぜい100〜110Q/h)のが若干残念ではありますhi

なお私もそうなのですが、頭がJか7で始まらないとなかなかコールサインをコピーできない方って少なくないようです。そういう方々に、QRQでのCW-QSOに慣れればもっと楽しい世界が拡がりますよ、なのでそういう修行を云々と説くのもひとつの手ではありますけど、なかなか受け入れられ難いのもまた事実かと思量します。ですから言葉や受信能力の垣根を感じさせないRTTY/PSKコンテストの魅力を伝える中で海外コンテストの面白さを少しでも感じていただくことができたら、そこを足掛かりにCWやSSBでの海外コンテストへ展開できるのではないかという希望を持って記事を書いていますhi
Posted by きこり@JH最大の難所 at 2016年05月23日 20:40
早いCWよりゆっくり目(25〜28wpm)ぐらいの方が呼ばれる確率が上がるのは体感しています。なのでDXコンテストでも国内から呼ばれることを期待している場合は私もそれぐらいまで落としてやるようにはしています。

コンテストにもいろいろな楽しみ方があるとは思っていますが、世界的に見るとコンテストにおけるJAのプレゼンスが低迷している(と私は思っていますが)状況が少しずつでもよくなっていくことを期待しています(っていうのはここで言うような話ではないのでしょうけれど)。
Posted by jh5ghm at 2016年05月23日 23:19
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