2019年10月02日

FM衛星でサテライト通信をやってみよう!

いくつかあるアマチュア用通信衛星の中で、ドップラーシフトに関係なく送信周波数・受信周波数を固定したままで運用できるFM衛星がいくつかあります。そこで運用がしやすいFM衛星のAO-91・AO-92を使ったサテライト通信の簡単な手引き書を作成しました。Let's Try!

2019年10月15日・一部追記


★目的★
・FM衛星(AO-91・AO-92)でサテライト通信を体験する


★用意したい環境★
・435MHz帯のFMで送信しながら、同時に145MHz帯のFMが受信できる環境
  【注】衛星にて中継された自局の信号(ループ)を聞きながら運用するのがサテライト通信の基本!!


★最低限準備したいもの★
・435MHz帯のFM無線機(送信用)
・145MHz帯のFM無線機(受信用・FMが受信できれば良いので広帯域受信機でもOK)
・アンテナ(さし当たっては145/435MHzの両方に出られるGPでも大丈夫)
・145/435MHz用のデュプレクサー(LPF・HPFを兼ねる)
  【注】50/144/430MHzや144/430/1200MHzのトリプレクサーでもOK
・ヘッドホンかイヤホン(ハウリング防止に必須アイテム)
・衛星の通過予報(こちらにて最寄りの地点を選ぶ)


★衛星の通過予報の見方と用語の説明★
【例】
Date (JST) Time (JST) of Pass Azimuth at Peak Sat Vis Orbit
AOS MEL LOS Dur. AOS MEL LOS Elev
19/10/01 火 00:15:04 00:20:54 00:26:22 00:11:18 12 140 193 87.5* AO-91 NNN 10062

AOS 衛星が観測点の可視範囲に入ること(Acuisition of Signal)
MEL 衛星がパス中で最も高い位置に来ること(Maximal Elevation)
LOS 衛星が観測点の可視範囲から出ること(Loss of Signal)
Pass Dur. AOSからLOSまでの時間(Pass Duration)
Azimuth at... AOS時/MEL時/LOS時における方角
Peak Elev MEL時における仰角(Peak Elevation)。40度超となる場合は「*」が付く
Vis AOS時/MEL時/LOS時における観測点と衛星への太陽の光の当たり具合
D:観測点・衛星ともに太陽の光が当たっている
V:衛星にのみ太陽の光が当たっている
N:観測点・衛星ともに太陽の光が当たっていない
Orbit 軌道番号
この例のケースですとAO-91は、観測点において次のように動きます(見えます)。
・日本時間2019年10月01日00時15分04秒に方角12度で地平線上に姿を現し(可視範囲に入り)
・同20分54秒に方角140度で最大仰角87.5度に達し
・同26分22秒に方角193度で地平線下に没する(可視範囲から出る)
  【注】実際には障害物(山岳や建物など)の影響により通過予報どおりに見えるとは限らない
     逆に屈折効果で通過予報のAOS時刻よりも早く聞こえたり、LOS時刻後も聞こえることがある



★各衛星の周波数★
AO-91 アップリンク周波数435.250MHz・ダウンリンク周波数145.960MHz
AO-92 アップリンク周波数435.350MHz・ダウンリンク周波数145.880MHz
  【注1】AO-91/29には、自動周波数制御機能(AFC)があるためアップリンク周波数を固定して運用しても大丈夫
  【注2】中継器をONにするには、トーン(67.0Hz)の重畳が必要(中継器ONの時はトーン不要
  【注3】AO-92は、1267.350MHz/145.880MHzで運用されることがある(おおむね週に1度)


★まずは受信★
衛星からの信号(ダウンリンク)が受信できないことには、絶対に交信できません
・衛星の通過予報を参考に、自局の設備でダウンリンクが聞こえるかどうかをまず確認
・145MHz帯のFM無線機の周波数を次のとおりに設定
  AO-91:145.960MHz
  AO-92:145.880MHz
・複数のパスを受信してみても全然聞こえないようなら、サテライト通信を諦めましょうhi
  【注1】たまに中継器がOFFで受信できないこともある。ただ中継器OFFの時は、数分に1回、音声ビーコンが流れる
  【注2】受信できない原因を突き止めることは、送受信能力の改善に繋がります
・受信できた方は、次の項目へ!


★サテライト通信のお約束ごと★
衛星からのダウンリンクが聞こえない時は、絶対に送信しない
  ⇒無用の混信により多くの局に迷惑がかかります。あなたよりも耳の良い局がいるかも?!
・慣れるまでは、ダウンリンクが聞こえたらループテストをまず実行
  ⇒方法:カーチャンク(PTTを1〜2秒程度ONに)する
      自局が送信した信号(アップリンク)が中継されると、
      PTTのON/OFFに応じてダウンリンクの聞こえ方が変化する
ループテストでどうしても声を出したいのなら、自局のコールサインを1回だけアナウンスする
  ⇒時おり「はっはっ」などとやる方がいますが、これも無用の混信であり迷惑
    ※1エリアと2エリアに1名ずついるのを確認済みですhihi
  ⇒このループテストが成功すると、そこからQSOが始まることも珍しくありません
    ※ループ:衛星にて中継された自局の返り信号のこと
    ※ループテスト:ループが聞こえるかどうかを確認する試験のこと
    【注】サテライト通信では無線機の送信モニターをOFFにしましょう(ループの受信の妨げとなるため)
自局のループが聞こえない時は、直ちに送信を止める
  ⇒これまた無用な混信を与えないため


★オススメのパスは?!(1)★
東パス(太平洋上を通過するパス)が混信も少なくアップリンクが通りやすい、イコールQSOしやすい
西パス(東シナ海上や南シナ海上を通過するパス)は、混信が激しくアップリンクが通りにくい


★オススメのパスは?!(2)★
(1)を踏まえた上で、自局のアンテナに適したパスを選びます
具体的には、GPなど無指向性アンテナや仰角固定(0度)の指向性アンテナを使う場合は、目安としてMELが30度以下のパスが良いでしょう
  【注】MELが30度超であっても、仰角が30度以下となるAOS直後やLOS間際を狙ってみるのもアリ


★最初は呼びましょう★
・435MHz帯のFM無線機の周波数を、それぞれ次のとおりに設定
  AO-91:435.250MHz(トーン不要、設定できるのなら67.0Hz)
  AO-92:435.350MHz(トーン不要、設定できるのなら67.0Hz)
    【注】ドップラーシフトに応じて周波数が可変できればより良いが、周波数を固定しても差し支えはない
受信用の無線機にヘッドホンかイヤホンを装着して受信する
  【注】無線機内蔵や外部のスピーカーを聞きながらのQSOはハウリングするので止めましょう
・ダウンリンクが聞こえたらループテストを実施
・出ている局のコールサインを書き留めておく
・ループテストが成功したら、耳の良さそうな局(←これ重要!)を呼ぶ
  【注】FM衛星では、QSOしたい局を呼ぶ運用スタイルが一般的
     CQを出している局が引き続いて衛星を使うといった優先権めいた概念は一切ありません

・基本的な呼び方は、次のとおり(RSレポートまで一気に送信)
  相手局のコールサイン(1回)+「こちらは」+自局のコールサイン(1回)+RSレポート
    【注1】コールサインをアナウンスする時は、必ず「フォネティックコード」を使う
    【注2】フォネティックコードは、こちらにある標準的なものを用いることを強く推奨
        これは通信の明瞭度が弱い状況下でも聞き漏らすことのないものを選定しているため(参考

    【注3】RSレポートは、コンテストのように「59」を送るのが一般的
・呼ぶ場合のQSOパターン例(ZLXが呼ぶ側)
  ZLX:JK2XXKこちらはJI2ZLX、59ですどうぞ
  XXK:JI2ZLXこちらはJK2XXK、同じく59です、ありがとうございました
  ZLX:了解です、ありがとうございました ← これでQSO完了(らしい)


★FM衛星で注意したいこと★
・長くて10数分しかないパスを多くの局で共有しながらQSOします
・だからQSOは簡潔に済ますのがスマートです(特に多くの局で混み合っていたり、混信の激しい時)
・CQもだらだらと長く送出するのは、時間の無駄です(CQ+コールサイン1回で充分)
CQは、30秒〜60秒ほどの間隔を空けて出しましょう
  ⇒あなたのCQに応答しようとする局がアップリンクを試みているのかも知れません
  ⇒衛星の可視範囲にある多くの局がアップリンクできるよう、CQの連発は控えましょう
・時間を置いて呼び出されることも珍しくありません。呼ばれなくてもワッチを続けましょう
・近隣諸国(BV・BY・DU・HL・UA0など)のハムともQSOできます
 海外局から呼ばれても驚かないでくださいね


★聞こえていないのにCQを出すのは…★
・CQが聞こえたので呼んでも応答のない局がたまにいます
・これは、ダウンリンクが聞こえていないのにも関わらず「誰も出ていない」と錯覚し、
 CQを出しているのでしょう
サテライト通信は、みんなが聞いています(←これ重要!)
・サテライト通信で嫌われるのは、「アリゲーター」と呼ばれる、受信能力が著しく劣る局です
・無指向性アンテナを用いている局は、アリゲーター化する可能性が高い傾向にあります
慣れるまではCQを出さず、聞こえた局を呼び出すことを強く推奨します
・サテライト通信では、CQを出さなくても呼ばれ続けることが良くあります
・CQを出すのは、自局の受信能力をある程度把握してからにしましょう
・アリゲーターな状態でCQを出すのは、自ら恥を晒すようなものだと思います。HW?!


★QSLカードの書き方★
・周波数は「435/145」または「435/145MHz」と書く
  ⇒アップリンク周波数とダウンリンク周波数をMHzオーダーで記述するのが一般的
  ⇒左にアップリンク周波数、右にダウンリンク周波数を記述するのが一般的
  ⇒この他には「435↑145↓」と書く方もいます(もちろん有効)
・どの衛星を経由して交信したのかを備考欄へ書く
  ⇒例:「via AO-91」「AO-92経由」
・この2点が明記されていないとJARL発行のアワードには使えないらしいhi
・もっともQSLカードを交換しない方も多くいらっしゃいます
  【注】QSLカード至上主義(hi)な方は、運用しない方がいいかも?!(苦笑)


★ちょっと余談★
・以前は無線局免許状に「宇宙無線通信を含む」の但し書きがないとサテライト通信はできなかった
・現在はアマチュア局なら等しく宇宙無線通信を行うことができます!!


ローカルQSO用と思っていた設備で日本全国や近隣諸国とのQSOが楽しめるFM衛星でのサテライト通信、素晴らしい衛星のおかげで今は敷居がとても低くなりました

本稿をお読みの方々と、AO-91/92経由でお会いできることを楽しみにしています。CU SN via FM birds!
posted by きこり@JH最大の難所 at 17:37 | 岐阜 ☔ | Comment(0) | サテライト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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