2023年08月28日

Greencube Terminalでのパイルの捌き方

Greencube Terminalは、Greencube Digipeaterと比べパイルアップを捌きやすくする仕組みが施されています。その仕組みを上手く使いながらパイルアップを捌く方策を紹介します。

またパイルを捌く仕組みを理解することで、呼ぶ側もどうオペレートすれば良いのかについて一考することができるとも思います。GreenCubeへ出ている方々にお読みいただけると幸いです。


(1)GCTerminalの設定を適切に

1-1 Settings>General settings
GCT-2.jpg
赤枠内にチェックを入れる(強く推奨)
これで複数局への同時応答が可能となる

1-2 Settings>TLE data
GCT-3.jpg
移動運用先でインターネット接続ができない場合の設定
1-2-1 予めインターネットからTLEをダウンロードしてPC内に保存
1-2-2 「Filename for local TLE」でPC内に保存したTLEを指定
1-2-3 「Use local TLE data」にチェックを入れる

参照するTLEは、画像中にあるものを推奨
理由は、データが毎日更新されているから

1-3 Settings>Logging
GCT-4.jpg
1-3-1 赤枠:PC内のADIFへログを記録する
 ログ(log.adi)は、初期設定だとC:\Users\(ユーザー名)\Documents\Greencube Terminalにある
1-3-2 青枠:外部アプリにTCP接続でログを転送
 私はTCP接続でN1MM+とJT_Linker(経由でHAMLOG)へログを転送
 「Enable TCP logging」にチェックを入れる以外は、初期設定のままでOK(のはず)
 【注意】複数QSOデータの一括転送において私の環境では、HAMLOGへは1局分しか転送されない
  (N1MM+は問題なし)
1-3-3 橙枠:外部アプリにUDP接続でログを転送
 設定箇所はTCP接続と同じ
1-3-4 緑枠:CallingMeウィンドウへの再表示の禁止
 ここへチェックを入れると、ログへの記録後に再び同じ局が呼んできてもCallingMeウィンドウへコールサインが表示されない

1-4 メインウィンドウ上
GCT-1.jpg
【必須】「Show callers」にチェックを入れ、CallingMeウィンドウを表示させる


(2)QSOの進め方

2-1 QSO完了の考え方
GreenCubeにおいて何をもってQSO完了とみなすかについて、移動局や珍局が相手の場合は、CQを出す側の応答が確認できた時点でQSO完了とするのが望ましいと考えます。

これをCQを出す側の視点で言い換えると、CQを出す側の多くは、自らの相手局への応答が自ら確認できた時点で(相手局も同様に確認できたものとみなして)QSO完了とし、ログへ記録します。このことは、相手局からの更なる応答(TU73とかLoggedとか)は積極的に見ていないことを意味します

世の中には「TUや73を交換しあって初めてQSOは完了するもの」とお考えの方もおられるようですが(JT65やFT8など他のデジタル系の影響?)、1波しかないGreenCubeにおいてパスを共有する全ての局が効率よくQSOするためには、(相手局にとって)不要な送信を行わないほうが良いのは、火を見るよりも明らかと言えましょう。中には移動局や珍局から更なる応答を引き出すべく、TU73やLoggedなどを何度も何度もアップリンクしている局がいますが、この行為は、自分以外の全ての局にとって迷惑以外の何物でもないと考えます。まあ、ご自身が移動運用でパイルアップを浴びる経験をしていないから分からないのでしょうけど

なお、何らかの理由によりCQを出す側の応答がデコードできなかった時は、再び呼べば良いだけの話。そしてそれを見たCQを出す側は、再び応答するだけの話です。そうやってCQを出す側の自局への応答がデコードできたら、PCの前で「ありがとう」とつぶやきながらそっと引き下がるのがスマートではないでしょうか

2-2 メッセージの設定
前項の考え方を例示すると、以下のとおりとなります。

JK2XXK/5>CQ PM62ls
JH5ZAB>JK2XXK/5 PM63
JK2XXK/5>JH5ZAB PM62 TU ←このメッセージをJK2XXK/5自身が受信できた時点でJH5ZABとのQSO完了
JA2YJO>JK2XXK/5 PM85
JK2XXK/5>JA2YJO PM62 TU ←このメッセージをJK2XXK/5自身が受信できた時点でJA2YJOとのQSO完了

これをファンクションキーへ割り当てた時の例を、以下に示します
Key  Label  Message       ToCall  TXDelay
F1 Run [MYGRID] CQ 0
F2 GLTU [MYGRID4] TU 0
CQ誌ではRSQ+グリッドを送りましょうと書きましたが、

@ 1文字送信するのに約20ミリ秒を要する
A パケット長が長くなると混雑時はアップリンクが通りにくい
B RSQは599とするのが慣習化されており敢えて送受し合う意味に乏しい
C GreenCubeへ出ている局の多くはARRLのVUCCアワードを意識している

……の理由により、例示のように必要最小限の内容に留めるのが吉だと思います

またGCTerminalでは、受信した相手局のグリッドに基づき各種の計算(仰角やLOSまでの時間)をするので、

@ CQメッセージではこの計算に資するよう6桁
A 応答メッセージではVUCCハンターにとって必要な4桁

……と使い分けをすると良いでしょう。なおGCTerminalがグリッドを自動抽出できるよう、グリッドの前後には半角スペースを入れることをお勧めします(例:599PM85Takaとやるとグリッドの自動抽出ができない)

2-3 呼んで来た局への応答
基本的にCallingMeウィンドウ上のみで対応します

@ 呼んで来た局のコールサインetc.がCallingMeウィンドウに載る
A CallingMeウィンドウ上で応答したい局を左ダブルクリックで選択
  ⇒ 反転表示され、To欄にコールサインがセットされる
B 応答メッセージを送信
C 応答メッセージがデジされたら、反転表示された行の上で右クリック
D メニューから「Log callsign ******」を選択(******にはコールサインが入る)
E ログに記録されると同時に選択されたコールサインetc.がCallingMeウィンドウから消える

2-4 複数局への一括応答
GCTerminalでは、複数局への一括応答ができます。例えばこんな感じ

JK2XXK/5>CQ PM62ls
JH5ZAB>JK2XXK/5 PM63
JA2YJO>JK2XXK/5 PM85
JK2XXK/5>JH5ZAB,JA2YJO PM62 TU

これの手順は、以下のとおりです

@ CallingMeウィンドウ上で応答したい局を左ダブルクリックで選択
A 更に応答したい局をCTRL+左クリックで複数選択
B 選択された状態でメッセージを送出
  To欄には@で選択したコールサインしかセットされないが、実際には選択した局全てへ一括応答
C メッセージの中継を確認したら右クリックでメニューを呼び出し、ログに記録
D ログに記録すると選択されたコールサインetc.が全てCallingMeウィンドウから消える

実際にオペレートしてみると実感できますが、CQを出す側は、オペレートの最中って基本的にCallingMeウィンドウを見ています。言い方を変えると、CQを出す側は、CallingMeウィンドウに表示されるコールサインを片っ端から消去する作業を延々と行っています(のでTrafficウィンドウに表示されるTU73やLoggedなどの更なる応答メッセージにまで気が回らないのも無理はない)。これが何を意味するのか、次項にて説明します。

2-5 何回呼べば良い?(呼ぶ側の話)
GCTerminalを使うと、CallingMeウィンドウや右下のDupelistウィンドウに表示されるコールサインetc.が、太字のケースと細字のケースとがあることに気付くでしょう。この意味は、以下のとおりです

太字 GCTerminalユーザー
細字 その他のアプリ(GCDigipeater・DigipeaterGUI)のユーザー

CQを出す側がGCTerminalユーザーであれば、CQを出す側のCallingMeウィンドウに自分のコールサインが載れば事足りるので、1〜2回中継されたら良いでしょう。そして後は応答を待つ。こうすることで、次の効果が期待できます

@ 自局の送信と相手局の信号が重なることによるデコード漏れを未然に防ぐ
A 不要な送信を控えることで他局(CQを出す局を含む)がアップリンクしやすくなる

ところが、GCTerminal以外のアプリを使う方は、誰がどのアプリを使ってオペレートしているのかを知る術がありません。となると、ひたすら呼び続けがちなオペレートとなってしまい、混雑に拍車をかけてしまいかねません。中には、極めて短時間に同一メッセージを連続してアップリンクする局まで出てくる始末。こうなるとSNSのどこかで指弾されちゃいますhihi


(3)というわけで……

CQを出す側も、それを呼ぶ側も、GCTerminalを使うことが、パスを効率よく活用する上で有用だと思います。導入がまだの方は、ぜひこちらを参考に一度使ってみて下さい
posted by きこり@JH最大の難所 at 01:35 | 岐阜 ☁ | Comment(1) | TrackBack(0) | サテライト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ、遠藤です。
先ほどは呼び出しありがとうございました。
手持ちの機材で見よう見まねで設定して初めてのサテライトで操作に手間取ってました。
ボチボチやりますのでご指導宜しくお願いいたします。
Posted by あんB at 2023年08月30日 21:51
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